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シャーロック・ホームズと夏目漱石
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■ 2013-07-30
■ シャーロック・ホームズは、コナン・ドイルであり、ワトスンは読者ということだ。
「ひとつだけ分からないことがあるよ」
二人で駅のほうへ歩きながら私は聞いた。
「夫の名前がジェームズで、もう一人の男の名前がヘンリーだったとすると、
夫人がデビットという名を口にしたのはどういうことなんだ?」
■ ・・・、とワトスンはいう。
■ そして、シャーロック・ホームズは、・・・
デビッドというのは明らかに非難の言葉だったのだよ」
・・・
ウリヤとパテシバの話をおぼえているだろう。
ぼくの聖書の知識はいささかさびついているだろうが、
たしかサムエル前書か後書に出てきたはずだよ」
■ ダビデの、裏切り、・・・
■ シャーロック・ホームズものの著者・コナンドイルは、もちろん、逆に、・・・
■ この古典的な話を、なんとか、シャーロックにやらせたい、ということで、小説を書いた。
■ そして、その話はみんな知ってるだろう、・・・
■ ということだった。
■ コナン・ドイル著、シャーロック・ホームズの回想・背中の曲がった男、は発表当時どのように評価されたのだろう。
■ 案外、このあたりの評価が、ドイルとしては気に入らなかったのかもしれない。
■ 短編何作かの後に、シャーロック・ホームズを葬っている。
■ しかし、まあ、その辺のところはどうでもいい。
■ この古典的な話
■ ・・・、即ち、愛と裏切り、は、・・・
■ 人間社会での普遍的な問題でもあり、夏目漱石は、こころ、という小説にとりあげた。
■ どちらも、裏切った側が、自責の念に駆られ死んでしまう。
■ もちろん、・・・
死んでしまう、のではなく、・・・
■ どちらの作者も、即ち、コナン・ドイルも夏目漱石も、・・・
■ 裏切りは死で償われるものだ、としている。
■ 元々、愛がもとで、というか、愛を得るために他者を犠牲にするということだが、・・・
■ 愛自体についてはほとんど何もふれていない。
■ どちらも、相手の自分に対する愛を得ようとしたのではなく、・・・
■ 単に、人間の欲望の対象としている。
■ 手に入れたいモノのひとつとしてとりあげたのだろう。
■ 作者にとって、愛に限らず、何でもよかったのかもしれない。
■ どちらの場合も、女の立場をほとんど無視しているように見える。
■ 自己の欲望を満たすために、人は何でもしてしまう、ということで、・・・
■ 愛という心の問題ではなく、行為の是非を問題にしている。
■ 夏目漱石著・こころ、の後味の悪さは、そのへんにある。
■ また、ホームズは探偵だから、推理が主体であるかのようにみえるが、それはどうでもいいことだろう。
■ ネタがバレたからといって、それがどうした。
■ むしろ、ネタ、即ち、本質的テーマを明確にすることが重用だ。
■ シャーロック・ホームズもので作者は何を描こうとしたのか、一応、それが問題で、・・・
■ ネタ自体、それをどう表現するのかに読者は興味をよせるのだ。
■ 繰り返し読むというのはそういうことだ。